仮想通貨と聞くと、ビットコインのような決済通貨をイメージしますが、TRON(トロン)はそれとは異なります。
TRON(TRX)はプラットフォーム、またはインフラに近い仮想通貨。ブロックチェーン技術を生かし、独自のネットワーク、システムを作るタイプで、イーサリアムやネムに似ています。
TRONの理念や目的は以下のようなもの。
- ゲームや絵など、全てのデジタルエンタメコンテンツを世界ベースで共有し、保護する
- 広告モデルによるマネタイズから脱却し、コンテンツ自体が評価される独自の経済圏を作る
ゴリわかくん
TRONの特徴やスペック
発行枚数やブロックチェーンの承認方法については下の表を見てください。
時価総額ランキング | 19位 |
発行上限枚数 | 1000億 |
承認方法 | Proof-of-Replication (PoReq) |
発行枚数が1000億とかなり多いですね。ただ、全てがすでに発行されているわけでなく、時間経過とともに発行、分配されていくようです。このへんはビットコインに近いかも。
開発は主に中国人によるチームで行われています。代表は「Justin Sun」という人物で、中国で有名な音楽ストリーミングサービス「Peiwo」の創業者でもあります。
One more senior developer from Alibaba just joined #Tron #TRX $TRX. We are putting all our efforts in the open source on Dec. 29th.
— Justin Sun (@justinsuntron) 2017年12月26日
TRONネットワークとシステムについて
TRONのキモは、デジタルコンテンツをブロックチェーン上にアップロードし、それを世界中の(個人)コンピューターで分散管理すること。
コンテンツを一つのパソコン、サーバーに保管せず、分散させることで、TRONネットワークを形成します。もちろんそれぞれのパソコンのTRONに関するデータは同期しています。
自分のパソコンのストレージ(空き容量)を提供し、ネットワークの維持に貢献する人をマイナーと呼び、マイナーはストレージ提供により報酬(TRX)を得られます。
TRONネットワークに加入すれば、誰でもコンテンツをアップロード、またはそれらを閲覧できます。ネットワークへの参加条件は単純で、「TRONIX(TRX)」を保有していることだけ。ネットワークに参加したいならTRX買ってね!ということです。
TRXはコンテンツの閲覧時や、コンテンツのアップロード時に手数料として支払います。TRONネットワークで使えるお金とイメージするとわかりやすいです。
TRONはシステム、ネットワークを意味する言葉なので、取引所ではTRON自体を売買しているわけではありません。そのネットワーク上で使用されるTRXが投資対象になっています。ここらへんはイーサリアムと同じですね。
これらの仕組みにより、非中央集権、かつ世界規模のエンタメプラットフォームを作ることができます。今のYoutubeの非中央集権バージョンとイメージするとわかりやすいかも。
ビットコインは取引記録をブロックチェーンで分散管理することで、非中央集権な決済システムを作ろうとしていますが、TRONはそれのデジタルコンテンツバージョンといえます。
TRONが解決を目指す問題、課題
既存のプラットフォームが抱える問題
エンタメ用のプラットフォームはすでに多数存在しています。日本なら、「ニコニコ動画」や「Youtube」が有名ですね。
ただ、これらは中央集権的なプラットフォームであり、それによりクリエーターに不利益が発生しているとTRONの開発メンバーは考えているようです。それが以下の2つの問題。
- プラットフォーム運営者による搾取
- 広告モデル偏重のマネタイズによるコンテンツの質の低下
プラットフォーム運営者による中間的な搾取システム
プラットフォームによっては利用料がかかります。この収益がコンテンツ作成者にもしっかり分配されていれば問題ないのですが、現状そうではありません。
むしろ、コンテンツの管理費用のような名目で、クリエイターからも利用料を徴収している状態。クリエーターはコンテンツに見合った報酬を受け取ることができず、ジリ貧に追い込まれてしまいます。
広告モデル偏重のマネタイズはコンテンツの質を低下させる
現在、デジタルメディアの収益の柱は広告収入です。Youtubeでも動画の最初や途中にCMが流れます。
このマネタイズモデルで大きな問題となるのが、「コンテンツの質 = 収益の大きさ」とはならないこと。
コンテンツの質よりも、いかにユーザーに広告を見てもらうか、クリックしてもらうかが重要になります。どれだけコンテンツが素晴らしくても、広告を踏まれなければ収益にはなりません。
これはよく考えるまでもなく、歪んだマネタイズモデルです。本来なら、コンテンツの質に応じて見合った報酬が与えられるべき。
現在のマネタイズモデルは、クリエーターから創作活動のモチベーションを奪っていると、TRON開発メンバーは考えているようです。
TRONによる非中央集権的なプラットフォームはユーザーとクリエーターを直接繋げる
TRONネットワークには運営者が必要ありません。アップロードされたコンテンツはブロックチェーン上に保存され、自動的に世界中のコンピューターにコピー、保存されます。
そしてTRONネットワークに参加してさえいれば、そのコンテンツにアクセスできるので、第三者を介さず、ユーザーとクリエーターを直接つなげることができます。
また、クリエーターは報酬形態をある程度自由に選択できます。有料コンテンツのように、アクセス自体にTRXを要求してもいいですし、投げチップで報酬をもらう形でもOK。
広告によるマネタイズモデルから脱却し、純粋にコンテンツに対しての報酬というモデルを実現できるわけです。
さらにTRONネットワーク上でクリエーターはICOを行うことができ、保有しているTRXと引き換えに自分独自のトークンも発行できます。
こんな作品を作りたいから寄付して!寄付してくれたら見返りに独自のトークンをプレゼントするよ!作品が成功すれば、このトークンに大きな価値が生まれるかもしれないよ!みたいな感じですね。
TRXは空きストレージを提供しているマイナーにも分配されます。これがインセンティブとなり、多くのマイナーがTRONネットワークに参加するだろうと開発メンバーは考えているようです。
まとめると、TRONの目的はTRXのみで流動するようなエンタメ専用の経済圏を作ること。そしてクリエーターを保護し、コンテンツの質を底上げするのが大きな目的です。
TRONのロードマップ(開発計画)
TRONは2017年8月にICOが実施されたばかりで、完成には数年ベースで考える必要があります。
公式サイトにはロードマップが提示されており、それは大きく6つの段階に分かれています。簡単にですがそれぞれ解説していきますね。
1 Exodus(エクソーダス)
分散台帳技術を応用して、分散型ストレージの土台を作る段階です。「IPFS」という技術を用いることを計画しているようです。
予定期間は2017年8月から2018年12月。
2 Odyssey(オデッセイ)
ホワイトペーパーを読んでも正直あまりよくわからなかった(抽象的すぎ)のですが、おそらくTRXをTRONネットワーク上で使えるようにする段階、のことだと思います。
また、TRXは長期間保有するとそのアカウントの評価が上がり、TRXの分配を受け取ることができます(PoSに近い感じ)。
それの計算システムもこの段階で詰めていくのかな? 予定期間は2019年1月から2020年6月まで。
3 Great Voyage(グレートボヤージュ)
公式サイトにはこの段階があるのですが、ホワイトペーパーには記述がありませんでした。後から追加されたのかも?
期間は2020年7月から2021年7月まで。
4 Apollo(アポロ)
TRONネットワーク上で発行できる独自トークン関連の開発期間です。2021年8月から2023年3月までを予定。
5 Star Trek(スタートレック)
オンラインゲーム関係のコンテンツのブロックチェーン化を実現する段階。2023年4月から2025年9月を予定。
6 Eternity(エターニティ)
ビデオゲームをブロックチェーン上に乗せる段階。2025年9月から2027年9月まで。
直近のイベントや予定
最近発表されたTRONのニュースやイベントのいくつかを、時系列順にご紹介します。
2回のICOが1分もたたずに完売
2017年8月に、海外取引所である「Binance(バイナンス)」でTRONのICOが行われました。
2回とも1分未満で売り切れてしまったようで、TRONへの期待の高さがうかがえます。
開発メンバーが持っている300億以上のTRXを、2020年1月1日までロックアップ
34251807523.9 TRX owned by Tron Foundation have been locked until Jan. 1st 2020. $trx #trx #tron Address: https://t.co/GFs4rzzDoO
— Justin Sun (@justinsuntron) 2017年12月19日
「ロックアップ」とは、コインをあるアドレスに送って、一定期間取り出せないようにする措置のことです。
これにより、自分たちが持っているTRXを売りぬけてサヨナラ!、という夜逃げ的なことができなくなります。
しっかりプロダクト(製品)を開発する気があるよ!という意思表示のようなものですね。
12月29日にソース公開(オープンソース化)
We will have TRON network open source on Dec. 29th. With the developer bonus plan, more developers can contribute their code to TRON remotely and collaborate with each other. Developers wanted! Send your resume and LinkedIn to lucien@tronlab.com. Join TRON family!
— Justin Sun (@justinsuntron) 2017年12月21日
TRONのソースコードが12月29日に公開される予定です。直接価格に影響する要素ではなさそうですが、これをきっかけに技術者がTRONに興味を持ち、注目が集まるかもしれません。
多くのアイデアが持ち寄られて、さらにTRONの開発が進むことを期待したいですね。
近いうちに国内取引所に上場する?
TRON開発チーム代表の「Justin Sun」がリツイートした情報が正しければ、2018年1月の第1週、第2週に上場することになります。どの取引所に上場するのでしょうか。
2018年第一四半期にBurnが予定されている
Burnとは、一定量のコインを永久に使えないようにする措置のこと。Burnによってコインの流通量が減るので、コイン1枚あたりの価値が上がります。
第一四半期は4月〜6月の間を言います。具体的な日にちはまだ発表されていませんが、価格高騰の要素になるのはほぼ確実です。
TRON開発メンバーは開発状況を定期的に報告している
TRON開発メンバーは、「Medium」に開発状況をまとめています。
TRONの開発はどんな状況なのか、近いうちにどんな予定が控えているのかをチェックするのに便利です。
Twitterも頻繁に更新されているので、フォローしておくことで最新の情報をキャッチできますよ。
TRXを売買できる取引所
TRXを売買できる取引所は10社近くあり、そのうちメジャーなのは以下の3つ。
- Binance(バイナンス)
- Liqui(リクイ)
- HItBTC(ヒットBTC)
この中ならバイナンスがおすすめです。TRXの取引量も1位ですし。サイトも軽く、手数料も安いので(0.05%)、ぶっちゃけ国内取引所より便利かも・・・。
海外取引所と聞くと少しハードルが高く感じるかもしれませんが、バイナンスは日本語に対応しているので、英語が苦手は人でも使えます。
バイナンスでは日本円の入金ができません。なので、まず国内取引所からビットコインをバイナンスに送り、そのビットコインとTRXをトレードすることになります。
少し面倒そうですが、トレードできるアルトコインの種類を増やすためにも、ぜひチャレンジしてみましょう。実際にやってみるとそこまで大変ではありませんよ。
登録方法や使い方については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
まとめ
自分はTRONに期待しています。調べているうちに愛着を持ったというのもありますが、現状では競合するコインがいない気がするんですよ。
仮想通貨ではよく「それ〇〇でやればいいじゃん」というのがありますが、TRONにはそれがないような気がするんですよね。
また、エンタメはこれから盛り上がってくるジャンルだと確信しています。AIやロボットの開発が進めば、労働時間が減り、その時間を余暇に回すというのは当たり前の流れだと思っているので。
TRONは開発が始まったばかりで、まだまだ実現までに時間がかかるでしょうが、長い目で見ていきたいです。
TRONを買ってみたい!という人は、ぜひバイナンスに登録してみてくださいね。